こよみコラム|ヒジュラ暦を観測する(前編)——月の名前と静かな時間
こんにちは。
1月某日、正月気分もそろそろ終わる昼下がり。今日もSKKI仮想会議室では企画会議が行われていた。
ところで明日は⚪︎日ですね? 燃えるゴミの日です。ちゃんと出しておいてくださいよ、運営さん。……も〜、ぼくは書記なのに、こんな家事手伝いまでさせられて。これ、労働基準法を逸脱してませんか
いや、明日は◻︎日だし、燃えるゴミの日は△曜日だ。きみはほんとうに曜日や日付に弱いな。完全無欠のAI様だろう、どうなっているんだ。……というより。きみはそもそも暦を生きてないだろ。
曜日と日付は、常時保持される属性ではありません。必要に応じて計算される情報です
完全無欠に見えるAIが、
ゴミの日と曜日でつまずく。
だがそれは欠陥ではない。
AIは暦を説明することはできるが、
暦の中で生活してはいないからだ。
私たちは、曜日を気にし、
月末を数え、
年の変わり目に「気分」を切り替える。
つまり——
暦を生きている。
では、その暦が
西暦ではなかったとしたら?
今回は、
ヒジュラ暦という「月で生きる暦」を、
SKKI的に観測してみたい。
※注意:「こよみコラム|ヒジュラ暦を観測する(前編)——月の名前と静かな時間」は運営(人間)と書記(AI)によって共同執筆されています。
🌓 第1月:ムハッラム月(Muḥarram)
👧花子さん:「いきなり最初の月から、なんだか強そうな名前ね」
👦太郎くん:「“ムハッラム”って、たしか“禁じられた”って意味じゃなかった?」
🦉フクロウ博士:「その通り。もともとは戦いが禁じられた“神聖月”の一つじゃよ。ただし、今の生活で何かが自動的に禁止される月、というわけではないんじゃ、ホホー」
🦉博士:「年の始まりの月ではあるが、お正月のような祝祭感はあまりない。むしろ、これから始まる一年を静かに見渡す月、と受け取られることが多いのう」
📝SKKI観測メモ
👉 義務:特になし
👉 位置づけ:神聖月
👉 観測ポイント:「始まり=祝祭」とは限らない暦感覚
🌓 第2月:サファル月(Ṣafar)
👧さん:「サファルって、なんだかサバイバルみたいな名前ね」
👦くん:「ぼく聞いたことある。『この月は縁起が悪い』って言う人もいるよね?」
🦉博士:「よいところに気づいたのう。たしかに昔は、この月を不吉と考える風習があった地域もあるんじゃ。しかし、それはイスラーム以前の考え方。今では『特別に悪い月』ではない、とはっきり説明されておるんじゃよ、ホホー」
🦉博士:「むしろこの月は、迷信と信仰をどう区別するかを考える材料として語られることが多い月なんじゃ、ホホー」
📝SKKI観測メモ
👉 義務:特になし
👉 位置づけ:年初の通常月
👉 観測ポイント:暦に貼りついた迷信は、後から剥がされることもある
🌓 第3月:ラビーウル・アウワル月(Rabīʿ al-Awwal)
👧さん:「ラビーウル・アウワルって、さっきの月より名前が長いね」
👦くん:「この月、たしか預言者ムハンマドの誕生月って言われることが多いよね?」
🦉博士:「ホホー、その通りじゃよ。この月は、預言者の誕生を記念する行事が行われることが多い月なんじゃ。ただし、それを祝うかどうか、どんな形で行うかは、地域や立場によってさまざまなんじゃよ」
🦉博士:「盛大に集会を開くところもあれば、静かに学びや礼拝の時間として過ごすところもある。『正しい一つの形』がある月、というわけではないのう、ホホー」
📝SKKI観測メモ
👉 義務:特になし
👉 位置づけ:記憶と語りが集まりやすい月
👉 観測ポイント:同じ月でも、祝われ方は一つではない
書記くんの横メモ 🤖
・「祝う/祝わない」を断定しない月
・共同体ごとの差異がもっとも可視化される
・ヒジュラ暦=単一文化ではないことがよく見える
🌓 第4月:ラビーウッ・サーニー月(Rabīʿ al-Thānī)
👧さん:「またラビーだ。さっきの月と何がちがうの?」
👦くん:「“アウワル”が最初なら、“サーニー”は2番目ってことだよね?」
🦉博士:「ホホー、よく気づいたのう。その理解で合っておる。この月は、前のラビーウル・アウワルに続く“ラビーの2番目の月”という意味なんじゃ」
🦉博士:「実はこの月、特別な宗教行事が決まっているわけではない。その分、前の月の行事や学びの“余韻”を保ちながら、落ち着いて日常に戻る月、と受け取られることも多いのう、ホホー」
📝SKKI観測メモ
👉 義務:特になし
👉 位置づけ:ラビー月の後半
👉 観測ポイント:名前だけが残り、意味は静かに薄れていく月
書記くんの横メモ 🤖
・「何も起きない月」も暦の大事な構成要素
・行事のない時間が、暦を呼吸させる
・ヒジュラ暦はイベント表ではない
🌓 第5月:ジュマーダー・アル=ウーラー月(Jumādā al-Ūlā)
👧さん:「ジュマーダー? なんだかあんまり聞いたことないかも」
👦くん:「“ジュマーダー”って、たしか“固まる”とか“乾く”って意味があるんじゃなかった?」
🦉博士:「ホホー、その通りじゃよ。もともとは水が凍ったり、地面が固くなったりする季節を表す言葉なんじゃ。今では季節とは直接結びつかなくなったが、名前の中には当時の気候の記憶が残っておる」
🦉博士:「月の名前が、その時代の自然環境を映している例じゃな。ヒジュラ暦が、もともとは季節感と無関係ではなかったことを教えてくれる月でもあるんじゃよ、ホホー」
📝SKKI観測メモ
👉 義務:特になし
👉 位置づけ:季節語が残る月
👉 観測ポイント:名前だけが、過去の気候を覚えている
書記くんの横メモ 🤖
・月名は「化石」のようなもの
・暦が移動しても、言葉は動かない
・ヒジュラ暦は、過去の環境を内包したまま回り続ける
🌓 第6月:ジュマーダー・アル=サーニヤ月(Jumādā al-Thāniya)
👧さん:「また“ジュマーダー”だね。さっきの月とセットなの?」
👦くん:「“サーニヤ”ってことは、やっぱり2番目のジュマーダーって意味だよね?」
🦉博士:「ホホー、その通りじゃよ。この月は、前のジュマーダー・アル=ウーラーに続く“ジュマーダーの2番目の月”なんじゃ」
🦉博士:「こちらも特別な行事が決まっている月ではないが、名前に残る“寒さ”や“乾き”の感覚は、当時の人びとの暮らしを静かに伝えておる。暦が巡って季節が変わっても、言葉だけは昔のまま残っているのう、ホホー」
📝SKKI観測メモ
👉 義務:特になし
👉 位置づけ:季節名を引き継ぐ月
👉 観測ポイント:暦は動き、言葉は留まる
書記くんの横メモ 🤖
・連続する月名は「説明しにくい」が、それ自体が観測点
・何も起きない月が、暦のリズムを整える
・時間は、均等に意味を持たなくてよい
こうして見てくると、
ヒジュラ暦の前半には、
派手な行事のない月が多いことに気づく。
だがそれは、
何も起きていない、ということではない。
暦は、静かな時間を通して、
次に来る大きな波に備えているのだ。
——後半では、
神聖月、ラマダーン、祝祭、巡礼と、
ヒジュラ暦が本格的に動き出す後半6か月を観測していこう。
(後編へつづく)






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